長いですので、分けました。話の内容は、一部後編の人物別の方にも書いてあるという、不親切設計です(_ _;)
では、ネタバレ参ります!
凪いだ海に突如現れる海賊船・卒塔婆丸。彼らに襲われた船は、金も、命も根こそぎ奪われるという。
卒塔婆丸の海賊の「とら」「たつ」は、仲間から慕われていたが、故・先代頭の一粒種の勇太郎は、頭としての人望がなかった。
ある日、襲った船の底に、2人の娘を見つける。彼女らは、水戸藩朝霞家の姫・真乃と侍女・伊織で、政略結婚を前に、逃げ出したという。たつ達は、先代頭の妻・潮路に隠して、住家である島の外れに匿うことにした。やがてとらと伊織、たつと真乃は親しくなる。
数日後に島に流れ着いた怪しげな男・才谷梅太郎も加わり、平穏な日を過ごすが、たつは、真乃をものにしようとした勇太郎を殴ってしまう。この島で頭に逆らうことは許されない。
一方、姫が逃げ出したと知ると、嫁ぎ先の会津若松藩家老・設楽は、部下の大河・保科に探すよう命じる。保科の雇った入江は、漁師の船に乗り込んだ、怪しい二人組の情報を掴んでいた。
そこに、足取りの覚束ない勇太郎がやって来る。たつに殴られたあと、一人島を出て、ヤケ酒を飲んでいたのだ。
行方不明になった勇太郎を血眼になって探すとら達。すると、伊織に、真乃がたつに呼び出され出て行ったきり、帰って来ないと聞かされる。身に覚えのないたつ。勇太郎が利用され、京に連れて行かれたと知り、とらとたつは、真乃を助けに行くことにする。船に乗り込むと、何故か梅太郎が乗っていた。
設楽は姫をようやく捕らえたが、以前と様子が違うと感じる。姫は偽物…つまり、本当は伊織が姫で、真乃は侍女だったのだ。
設楽は激怒し、勇太郎を殺そうとする。そこに、とらとたつが現れ、才谷の力も借り、真乃と勇太郎を助け出す。
とら達が姿を消すと、突如入江が設楽を斬る。保科は、もともとそのつもりで入り江を雇ったのだった。
4人は、無事島に帰るが、勇太郎の行為は許し難いもの。潮路は、勇太郎に頭を辞めさせ、日頃皆を引っ張っているたつに頭になるよう言う。たつは引き受けようとするが、とらが頭をやらせてくれと言い出す。それは、たつをと幸せにしてやりたいという思いからだった。しかし、たつは、とらが本当は頭になりたくはないことを知っていて、互いに頭は自分がやると言い合う。
勇太郎は、再び頭となる決意をする。二人を自由にするために。
二人は、伊織、真乃とともに島を出る。
島に残った者達は、寂しさを感じながらも彼らを見送り、新たな生活を始めようとしていたところに、姫を探しに来た保科と大河が、姫を渡せと要求する。姫はここにはいないと言うと、保科は、島民を皆殺しにしようとする。そうはさせまいと奮闘するも、相討ちとなり、全員息絶えてしまう。
船の上で、もの思いに耽っているとらの前に、梅太郎が現れ、とらを勇気づける。しかし、才谷は、別れの言葉とともに、消えるようにいなくなってしまう。
たつは、真乃と夫婦になると、とら達に伝える。とら達は、驚きながらも祝福する。
たつが真乃に船を案内しながら倉庫へ潜っているときに、入江が現れる。伊織をたつ達のいる倉庫に匿い、入江と戦うとら。不利な戦況の中、なんとかに致命傷を負わせる。
伊織を倉庫から出し、愛を確かめ合うが、とらの傷も、助かるものではないと、お互い分かっていた。静かに目を閉じるとら。伊織は、目を二度と開くことのないとらに口づけする。