先日見た、「深説・八犬伝~村雨丸奇譚~」のレポもどきです。
毎度ながら、ネタバレ&長文です。
この刀は人でございます――
事の起こりらしい場面からのスタートです。小説等ではなかった設定がありそうな予感。
次の場面は、信乃が浜路を置いて、足利成氏に村雨丸を献上しに行こうとしているところです。浜路に危険な目に逢わせたくないために置いて行き、婚約しているのにも拘らず、良き伴侶を得るのだぞ的に去って行きます。
信乃を止められなかった荘助は、浜路に「それでいいのですか浜路様…!」と言うと、「良いわけないじゃない!」と浜路。「浜路様、長い旅になります。支度をなさるなら、お手伝いしますよ」
そういうわけで、3人は旅に出ました。
…さすがに全部を書くと長くなりますので、割愛しつつ参ります。
○まず、大雑把な流れ。
・信乃、荘助、浜路は旅に出る
・信乃も荘助も、体に牡丹の痣があり、珠を持っている。そして、夢に金碗大輔という僧が出ているらしい
・これらの3つがそろった人が計8人居るらしいので、探すことに
・玉房という女が、村雨丸を奪おうとしている?
・八犬士揃った
・浜路が、信乃を助けようとして死んでしまう(何がどうなってたのか、よく分からなかった;悲劇を呼び寄せる村雨丸に選ばれてしまった信乃を庇おうとしてごたごたして玉房に…だったか?)
・玉房一味と八犬士&大輔戦う
・玉房は、伏姫+八房的な感じと分かる
・玉房は、村雨丸の力で復活しようとしていた
・玉房と、大輔心中
・ぼかしてますが、間違いなく全滅END
○とりあえず私の記憶の八犬伝と違う点。
・玉梓は登場しない
・伏姫が可愛がっていた犬、八房が、「妖犬」なんぞと言われ、悪役扱い
・村雨丸がなんだか呪われている感じ
・玉房という人物が、親兵衛を育てた
・玉房の正体は、今際の伏姫が八犬士と同じ珠を八房に埋め込んだもの
・珠が犬で、村雨丸が人らしい…が、この件はよく分かりませんでした;
・八犬士は皆、村雨丸と関わったことがある
○信乃
今回主人公。
かっこよかった気がする割に、どこで活躍していたか、今一つ思い出せません…。
○荘助
浜路の家に仕えていて、信乃の世話役でした。本当に、信乃と浜路を大切にしています。
優しすぎる。切なすぎる。
日記には、自分のことは書かず、信乃と浜路のことばかりを書いていました。
それをたまたま拾って読んだ大角が、生まれ変わったら浜路と一緒になれるよう願えばいい、と言うと、「生まれ変わったら…それでもあの二人がいいです」
足業満載の殺陣が好きでした。
○毛野(男)
女田楽としてやっているときは、座長にいじめ抜かれていました…。
舞シーンが綺麗です。そして、殺陣も舞うように綺麗なのですが、キレとスピード感もあって、かなり好みでした。
…そういえば、人質に捕られていたお母さんは、助かったのでしょうか…?
○大角
知的・無口・無表情・クール・単独行動・でもお茶目な人でした。ちょいちょい出てくる、無表情ピースが素敵です。
そして、居合を取り入れた殺陣がかっこいいのに、両手両足をピンと伸ばしてうつ伏せになり、死んだふりをして敵をやり過ごしたり…(笑)。素敵すぎです。
とはいえ、居合を取り入れたところで、私のような特殊な人しか喜ばない気もするのですよね…。あと、よく抜き付けをして演劇用の刀がもったなと…。
「俺は、俺にできることをする。逆に言えば、できないことはしない」という台詞が好きでした。
○小文吾
お笑い担当。どこまでもハイテンションで、喉が大変そう…。
女田楽の旦開野(あさけの)に一目惚れしたものの、旦開野の正体は、毛野。小文吾は、未だに同一人物であることを知らないそんな時期。
毛野「お前は、旦開野のどこがそんなに好きなんだ」
小文吾「全部!オール!!」
毛野「話したこともないんだろう」
小文吾「そうだな…。強いて言うなら…脚?」毛野の方を見る。
階段に座っていた毛野、脚を引っ込める。
変に思った小文吾、近寄る。
毛野、さらに逃げる。
小文吾「どうして足を隠すんだ」
という辺りが…(笑)
痣が腰にある彼は、皆が痣を見せ合っているとき、「見せられない…恥ずかしくて!」と言ったり。
浜路が好きなのにあっさり引き下がろうとしている荘助を殴ったら、沈黙の後殴り返され、物語終盤でも、何故か皆に殴られたり。
愛されキャラです。
シリアスなシーンで、さりげなく引っかかっている松明の小道具を直していたのが…多分、一番客席の笑い声が大きかったですね。
そんな小文吾にも、泣かされたシーンがありました。
昔戯れに刀を盗んだことがあり、それがバレ、取り返しにきた奴らに、家族を皆殺しにされたらしい…。
「俺なんか、本当は生きている価値など無いんだがな…」
○親兵衛
役者さんは大人ですが、設定年齢は子供のようです。かわいい。
八犬士としての迎えられ方が、強引過ぎました(笑)。
○現八
釣りをしている姿を見たときは、小文吾かと思いました。
登場が遅い分、いろいろと資料を集めてきたので物知り。
でも、登場が遅い分の大活躍はなく、真っ先に死んでしまいました…。
年若い、というよりも幼い親兵衛に、常々「私はお前を頼りにしている」と言っていた現八は、玉房パワーで暴走した親兵衛を助けて倒れても尚、自分を責める親兵衛に、「私はお前を頼りにしている」と、いつものように言うのです…。あああ。
親兵衛「俺は大丈夫って言ってるだろ!」現八「私はまだ何も言っていない」
といった、やり取りも良かったです。
○道節
荒っぽい人ですが、人をよく観察しているようです。意外と切れ者キャラ。
実は浜路の兄ですが、浜路に告げぬうちに、浜路は死んでしまいます。そのなかなか言えなかった理由がまた。。。
父の正妻の子である道節は、幼いころに自分を殺そうとした父の妾を憎むことで生きていたが、その妾に娘がいると知ってからは、その憎しみが娘、つまり浜路へと移ったと言います。
信乃「浜路には罪はない…!」
道節「それに気づいたのは…あいつと会ってからだ…」
あああ…。
上で、「よく分からなかった」と書いてある通り、正直「?」な箇所もありましたが、トータルでは、かなり好きでした。
それぞれのシーンや、登場人物を楽しむのが良い舞台だったかと。
わがままを言うなら、贔屓にしている荘助が、もう少し見つけやすい衣装だと嬉しかったです。あの人、全身茶色っぽいのですもの…。